特別展 内山晋コレクション受贈記念「歌川広重 江戸のベストアングル」
東京国立博物館 · 本館 A室 · 東京 · –
全作品を三期で入れ替え、「東海道五拾三次」(1期)、「木曽海道六拾九次」(2期)、「名所江戸百景」(3期)を中心に、三大シリーズをそれぞれ全点公開します。東博は全300件の出品目録をリポジトリで公開しており、作品番号は会場内の番号と一致しますが、本展図録の番号とは一致しません。
深掘り音声ガイド
まず4点から、第1期へ。
東博が公開した第1期の作品に基づく無料の読みものです。第1期:9月29日~10月25日。
無料で読めるテキストの先読みです。東博は全作品の出品目録を公開しており、作品番号は会場内の番号と一致します。1期のハイライトガイド(音声付き)を公開しています。他館の所蔵品は図柄や背景の比較資料であり、今回の展示品を示すものではありません。
箱根:山道をたどる目のリズム
「箱根 湖水図」という題名は湖へ目を向けさせますが、東博の予告では箱根越えの険しさが見どころです。まず道と旅人を探してください。行列に沿って視線をつなげると、どこで地形に行く手を遮られるでしょうか。場所当てではなく、見る順番を試すための問いです。
メトロポリタン美術館は同じ図柄の別の摺りを紹介する際、急な細道と長い行列、そして芦ノ湖や富士山を望む峠の眺めに注目しています。構図を読む手がかりにはなりますが、その所蔵品の寸法、色、摺りの状態が東博の展示品にも当てはまるとは限りません。人物の進む線から、山道の難しさをたどってみましょう。
同じ第1期の「庄野 白雨」と比べると、一方では地形が、もう一方では天候が旅の動きを左右します。それぞれの画面で最も強く感じる方向を一つ選び、どの線が行く手の抵抗を伝えるか考えてみてください。画面を地図に置き換えず、線の働きから入る見方です。
日本橋:旅の始まりを朝から見る
「日本橋 朝之景」は場所だけでなく、時間を題名に刻んでいます。東博は早朝の日本橋を東海道の旅の始まりとして紹介しています。橋の形を先に認めるのか、それとも出発を待つような気配を先に感じるのか。知っている地名を、時間の見え方へと開いてみましょう。
MOA美術館は保永堂版「東海道五十三次」の成功を、19世紀前半に高まった旅への関心と結びつけています。また、当初は保永堂と仙鶴堂の共同出版で、後に保永堂が引き継いだことも説明しています。日本橋から京都へ続く道には、距離だけでなく天候、季節、時刻の変化があります。これはシリーズの背景であり、今回の展示品の摺りや版元印を同定する説明ではありません。
MOAの2026年の別展覧会では、日本橋の図と現在の同じ場所の写真が並べられました。この方法を手がかりに、風景が変わっても場所を認めさせるものは何か考えてみてください。版画と実景が一致するとは決めつけず、箱根や庄野と比べながら、出発、山道、夕立が旅の想像をどう変えるか見ていきます。
庄野:雨の線に目を預ける
「庄野 白雨」は一本の斜線から見始められます。千葉市美術館は同じ図柄の別の摺りについて、雨、坂道、竹林、屋根、人物の斜めの方向が呼応することを解説しています。一つの方向を選び、それと響き合う線や逆を向く線を探して、画面の速さがどこから生まれるか考えてみましょう。
同館は竹の影と空間の重なりを、ぼかし摺にも注目して説明しています。ただし、これは図柄の理解に役立つ別の所蔵品の解説です。東博の展示品の色や摺りの状態まで同じだとは断定できません。会場では、遠近が形から生じるのか、濃淡から生じるのか、両方からなのかを確かめてください。
メトロポリタン美術館は別の摺りの解説で、この景色を特定の場所の直接的な写生というより、想像を含むものと捉えています。東博が強調する夕立の中ですれ違う旅人と合わせて考えると、場所を認めることと天候を感じることは別の入り口になります。箱根へ視線を戻し、山道と雨線でそれぞれ旅をたどってみましょう。
両国の夕涼み:旅の足を止める
第1期には東海道の旅だけでなく、江戸の名所も登場します。「東都名所 両国夕すゞみ」は三枚続で、公式広報資料では1847~1850年の作とされています。日本橋の朝の出発と比べて、この題名は足を止め、夏の余暇に目を向けるきっかけになります。
島根県立美術館は同じ図柄の別の摺りを紹介し、三人の女性の衣服、髪飾り、持ち物の違いを見るよう促しています。その具体的な手がかりを借り、人物を見分けてから背後の川景色へ目を移してみましょう。別の摺りの解説は問いを育てますが、東博の展示品の色、寸法、保存状態を確定するものではありません。
両国の水辺の余暇は広重だけの題材ではありません。大英博物館には歌川国長による1829年の「両国夕涼之図」があり、夏の夕方の橋、舟、人物が記録されています。今回の確認済み出品作ではなく、題材を比べるための参照です。人物を中心に見るときと、川面をたどるときでは、どのように違う夏の夜が現れるでしょうか。
来館案内
- 展示期間
- 第1期: –
- 第2期: –
- 第3期: –
- 開館時間
- 09:30–17:00 金曜・土曜と10月11日(日)、11月1日(日)、11月2日(月)、11月22日(日)は20:00まで。入館は閉館30分前まで。
- 休館
- 月曜、10月13日(火)、11月24日(火)、12月15日(火)(10月12日、11月2日、11月23日の月曜は開館)。
- 会期中の休館日
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- 料金
- 一般 ¥1,500
- 大学生 ¥500
- 予約
- 事前予約不要。混雑時は入場をお待ちいただく場合があります。高校生以下および満18歳未満、満70歳以上、障害者とその介護者1名は無料(年齢のわかるものや障害者手帳等の提示が必要)。東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生は無料(正門チケット売場で学生証を提示)。当日一般券はアソビュー!のオンライン購入で100円引き(他の割引と併用不可)。会期中は本展の使用済みチケットの提示で当日一般観覧料が100円引き(1回限り、他の割引と併用不可)。大学生券は当日券のみ。本展チケットで観覧当日に東博コレクション展も観覧できます。前売券の販売は9月28日で終了しました。
情報確認日 · 当日の公式案内をご確認ください
出品作品 (21)
- 1-002. 東都名所 両国之宵月 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保2~3年(1831~32)頃 · 東京国立博物館 — まず水面を見てください。青から白へぼかしているか、一面の青か。早い摺りと後の摺りを分ける手がかりのひとつです。
- 1-007. 東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 右の木戸の陰にいる2匹の犬、左で道をあける魚売り。早朝の日本橋は、ここから始まります。
- 1-008. 東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 前の一枚と見比べてください。橋の上は同じ大名行列でも、手前の人はぐっと増えています。
- 1-014. 東海道五拾三次之内 戸塚 元町別道 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 目録には同じ題の戸塚が2枚あります。茶店の前の旅人は、馬から飛び降りているのか、まだ馬上でしょうか。
- 1-020. 東海道五拾三次之内 箱根 湖水図 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — まず大名行列を探してください。巨大な山の塊の脇で、すり潰されそうなほど小さく描かれています。
- 1-021. 東海道五拾三次之内 三島 朝霧 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 霧の中ではすべてがシルエットです。濃淡が何層あるか数え、右に鳥居を探してください。
- 1-025. 東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 夜空を見上げてください。濃い色は上からぼけていくのか、下からか。この図柄には両方の摺りがあります。
- 1-050. 東海道五拾三次之内 池鯉鮒 首夏馬市 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 2枚を並べて、まず遠景を見てください。鯨のような形の黒い丘はあるでしょうか。
- 1-057. 東海道五拾三次之内 庄野 白雨 歌川広重 · 横大判錦絵 · 江戸時代・天保4~6年(1833~35)頃 · 東京国立博物館 — 雨も坂も竹林も人も、斜めの線に乗って走ります。まず雨の線をたどってください。
- 1-076. 五十三次名所図会 一 日本橋 東雲の景 歌川広重 · 竪大判錦絵 · 江戸時代・安政2年(1855)7月 · 東京国立博物館 — 同じ日本橋が、20年後には縦長の画面に。橋、空、遠景がどう上下に組み直されたか、まず見てください。
- 1-090. 東都名所 両国夕すゞみ 歌川広重 · 大判錦絵3枚続 · 江戸時代・弘化4~嘉永3年(1847~50) · 東京国立博物館 — 中央の女性の着物を見てください。波と兎の文様が、頭上の満月と向き合っています。
- 2-001. 近江八景之内 石山秋月 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保5~6年(1834~35)頃 · 東京国立博物館 — 石山の月と和歌から、2期のルートを始めましょう。
- 2-026. 木曽海道六拾九次之内 軽井沢 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7年(1836)頃 · 東京国立博物館 — 軽井沢では、道端の小さな焚き火が夜の旅人を立ち止まらせます。
- 2-034. 木曽海道六拾九次之内 望月 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7~8年(1836~37)頃 · 東京国立博物館 — 道は左へ遠ざかり、松の枝に重なる月は視線を上へ引き寄せます。
- 2-036. 木曽海道六拾九次之内 長久保 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7~8年(1836~37)頃 · 東京国立博物館 — 長久保では、手前の人々の奥に、月の下で橋を渡る人影が見えます。
- 2-041. 木曽海道六拾九次之内 洗馬 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7~8年(1836~37)頃 · 東京国立博物館 — 月と柳、ゆっくり進む舟や筏。洗馬でひと息ついてみましょう。
- 2-046. 木曽海道六十九次之内 宮ノ越 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7~8年(1836~37)頃 · 東京国立博物館 — 宮ノ越では、淡い色とシルエットが空気そのものを描き出します。
- 2-049. 木曽海道六拾九次之内 須原 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7~8年(1836~37)頃 · 東京国立博物館 — 須原では、斜めの雨と走る人々が、雨宿りの場所へと目を導きます。
- 2-057. 木曽海道六拾九次之内 大井 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保7~8年(1836~37)頃 · 東京国立博物館 — 須原のにわか雨のあと、大井では雪の中を進む旅人に目を向けましょう。
- 2-083. 木曽路之山川 歌川広重 · 木版多色摺・三枚続 · 江戸時代・安政4年(1857) · 東京国立博物館 — 三枚に広がる山々の間に、人が通る小さな道筋が残されています。
- 2-090. 月に雁 歌川広重 · 木版多色摺 · 江戸時代・天保3~6年(1832~35)頃 · 東京国立博物館 — 月と舞い降りる雁が、細長い画面の中で2期のルートを結びます。
このページの出典
- 公式展覧会ページ · www.tnm.jp 情報確認日
- 公式展覧会ページ · www.tnm.jp 情報確認日
- 公式展覧会ページ · www.tnm.jp 情報確認日
- 公式出品リスト · tnm.repo.nii.ac.jp 情報確認日
- 出典 · tnm.repo.nii.ac.jp 情報確認日
- 公式プレスリリース · www.tnm.jp 情報確認日
- 出典 · www.tnm.jp 情報確認日
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